ケアート美術館
芸術はそれをなす人が誰であろうと特に問うことはありません。今まで誰も見たことがなかった形、色。それら全体の構成、関係。それらが新しさに満ち、それを創る人だけでなく、それを見る人までもが、どこか愉快になる、なぜか嬉しくなる、生きていることに価値を感じるようになる。芸術活動や芸術作品はそんな力をもっていると思います。
サンシャインに集いし高齢者の方々の放つそうした可能性を、この「ケアート美術館」でぜひご覧になってください。
※「ケアート」とは「ケア」と「アート」からなる、サンシャインスタッフによる造語です。
サカエ・オオハマ 大濱さかゑ様
塗り絵と言えば大濱様、大濱様と言えば塗り絵、と相場が決まっていたのはいつの日か。今ではついに広大な絵画の世界に入られ、のみならず、並々ならぬ腕前をいきなり披露されるや、サンシャインマンションの管理人シリーズやカープ選手の似顔絵ではその想像もできない才能の一端を披露されています。これからの活躍がますます楽しみです。
[オリジナル作品:似顔絵]
[オリジナル作品:キャサリン]
[オリジナル作品:絵画]
サチコ・マツモト 松本幸子様
その昔、松本様が自宅で製作されたという、陶器製の壁掛けを見せていただいたことがあり、それを見てその精緻さと丁寧さには内心で舌を巻いてたわたしがいました。近年、今度は絵画の世界に身を投じられ、そこでも並々ならぬ生粋のセンスを発揮され、わたしの舌を再びクルクルと巻いておられます。これからどんな作品が生み出されるか、目を離せないお一人です。
キヌエ・アベ 安部絹江様
安部様の両手の指は多少曲がりにくくなっておられますが、筆を手にするやいなや、手首を固定されるようにして腕全体を動かされ、ゆっくりと丁寧にキャンバス(と言ってもダンボールですが)に色を置いていかれます。色を塗るのではなく、まさしく「置いて」いかれるのです。複数の色を混ぜて行く際の、そのジェントリーな仕草を拝見していると、安部様の人柄と作品の出来栄えが、互いに謙譲の美徳をもって、ひとつのものに溶けていくようで、感嘆せずにはいられません。